tyamazaki | wiki

Appearance

GA4とGTMによるアクセス解析の基礎 ​

GA4（Google Analytics 4）は、サイト上の行動をイベントとして収集し、集計・可視化する解析基盤である。GTM（Google Tag Manager）は、計測タグの配信・管理を集約し、変更を素早く反映させるためのタグ管理基盤である。

参考ドキュメント ​

  1. タグ マネージャー ヘルプ：2. ウェブコンテナをインストールする（日本語） https://support.google.com/tagmanager/answer/14847097?hl=ja
  2. アナリティクス ヘルプ：[GA4] Google アナリティクスのコンバージョンとキーイベントの違い（日本語） https://support.google.com/analytics/answer/13965727?hl=ja
  3. Google Developers：Consent mode（同意モード）概要（日本語） https://developers.google.com/tag-platform/devguides/consent?hl=ja

1. 役割の整理（GA4 / GTM / Googleタグ） ​

1.1 GA4（解析・集計の本体） ​

  • 収集したイベントを、ユーザー・セッション・参照元などの軸で集計してレポート化する仕組みである
  • 「重要な行動」をキーイベントとして定義し、成果指標として追跡できる

1.2 GTM（タグ配信・管理の本体） ​

  • Webサイトの各ページに「コンテナスニペット」を設置し、GTMの画面からタグ（GA4など）を配信する仕組みである
  • トリガー（いつ送るか）と変数（値をどう作るか）を組み合わせて、計測の仕様を組み立てる

1.3 Googleタグ（送信の共通基盤） ​

  • GA4やGoogle広告などで共通に使われるタグ基盤であり、ブラウザからGoogle側へイベントを送る入口である
  • 実装は「サイトへ直接設置」または「GTM経由」が主な選択肢である

2. GA4のデータモデル ​

GA4はイベント中心のデータモデルであり、行動は次の形で表される。

  • イベント：名前とパラメータを持つ観測
    • 例：page_view（ページ表示）、scroll（スクロール）、purchase（購入）など
  • パラメータ：イベントに付随する属性
    • 例：ページURL、ボタン名、購入金額、商品IDなど

数式で最小表現を置くと、イベント列は次のように見なせる。

D={(ti,ei,pi)}i=1N
  • ti：時刻、ei：イベント名、pi：パラメータ集合である

3. GA4の設定（Webサイト構成） ​

3.1 管理画面で行うこと（GA4側） ​

  1. GA4でアカウント／プロパティを用意する
  2. データストリーム（Web）を作成する
  3. 測定ID（通常 G-XXXXXXXXXX 形式）を確認する
  4. 拡張計測（Enhanced measurement）を必要に応じて有効化する
    • スクロール、外部クリック、サイト内検索などを自動イベントとして取得できる

3.2 設置方式の選択（2案） ​

  • A案：Googleタグをサイトへ直接設置（改修権限がある場合に明快である）
  • B案：GTMでGoogleタグ（GA4）を配信（複数タグ運用や変更頻度が高い場合に有利である）

4. GTMの設定（Webコンテナ構成） ​

4.1 GTM側で行うこと ​

  1. GTMでアカウントとコンテナ（Web）を作成する
  2. 発行された「2つのコードスニペット」をサイト全ページへ設置する
    • 1つ目：<head> 直後付近
    • 2つ目：<body> 開始直後付近（noscript側）
  3. 以後のタグ追加・変更はGTM管理画面で行う

5. GTMでGA4計測を動かす（基本） ​

5.1 タグ構成 ​

  • Googleタグ（GA4計測用）を作成し、測定IDを紐づける
  • 送信条件（トリガー）を「全ページ」などに設定する

この時点で、基本イベント（例：page_view など）が入る構成になる。追加の行動（例：ボタンクリック）を測りたい場合、GA4イベントタグを追加して対応する。

5.2 「キーイベント」の考え方（GA4） ​

  • 「重要な行動」を測るため、既存イベントまたは新規イベントを用意し、それをキーイベントとしてマークする
  • キーイベント化した後、レポート上で成果として追跡できる

6. 動作確認 ​

6.1 確認に使う画面 ​

画面主な役割反映の速さ
GTMプレビュー（Tag Assistant連携）タグが発火しているかの確認即時
Tag Assistant送信の状態、デバッグ用パラメータ付与など即時
GA4 Realtime直近のユーザー行動が入っているか準即時
GA4 DebugViewデバッグ対象のイベント列を詳細に追跡準即時
標準レポート/探索集計された分析（遅延あり）数時間〜

注意として、標準のレポート反映には時間（例：24〜48時間程度）を要する場合があるため、初動はRealtimeとDebugView中心で確かめるのが合理的である。

7. 利用方法（GA4の運用） ​

7.1 まず見る指標 ​

  • キーイベント率（セッション基準の一例）
rkey=KS

  • K：キーイベント数、S：セッション数である

  • エンゲージメント率（GA4の指標として重要である）

ER=SengS
  • Seng：エンゲージメントのあったセッション数、S：セッション数である

7.2 レポートの見方 ​

  1. 集客（参照元・メディア）：流入がどこから来たかを把握する
  2. エンゲージメント（ページ・イベント）：サイト内で何が起きているかを把握する
  3. キーイベント：成果に結びつく行動の量と経路を把握する
  4. 必要に応じて探索（セグメント・経路）：仮説検証の粒度を上げる

7.3 イベント設計の基本 ​

  • 可能ならGA4の推奨イベント名（例：purchase, generate_lead など）を優先する
    • レポートや連携が整備されやすい
  • イベント名は命名規則（文字種、予約語、大小区別など）に従う

8. 設定の拡張 ​

8.1 内部アクセスの除外 ​

  • 自組織・自分のアクセスが混入する場合、内部トラフィックとして定義し、データフィルタで除外する考え方がある

8.2 データ保持（保持期間の意味） ​

  • GA4では、ユーザー単位の詳細分析（探索など）に保持期間が影響する
  • 長期比較が必要なら保持期間を見直す（プロパティ設定で変更する）

8.3 同意 ​

  • 同意状態（広告・解析ストレージなど）に応じてタグ挙動を制御し、プライバシー要求と計測要求を両立させる枠組みである
  • 地域やサイトの要件に応じて、同意管理（CMP等）と整合させる

8.4 BigQuery連携（研究用途・高度分析） ​

  • 生データをBigQueryへエクスポートし、SQLで再現性ある集計やモデル化へ進める選択肢がある

9. GA4とGTMの比較 ​

観点GA4GTM
主機能収集データの集計・可視化・分析タグ配信・管理
扱う対象イベント、ユーザー、セッション、参照元などタグ、トリガー、変数、データレイヤーなど
設置Googleタグを設置（直置き/GTM経由）コンテナスニペット（2つ）を設置
確認Realtime / DebugViewプレビュー（Tag Assistant）

まとめと展望 ​

GA4はイベント中心の解析基盤であり、キーイベントの設計によって「何を成果とみなすか」を明確化できる点が本質である。GTMは計測の変更を集約する基盤であり、GA4と組み合わせることで、計測仕様の更新と検証の速度を上げられる構成である。今後は、同意管理の整備、BigQuery連携、サーバーサイド計測などを段階的に取り込み、プライバシー要請と分析の再現性を両立する方向へ発展させるのが有望である。

参考文献 ​

© 2025- tyamazaki