RTA (急冷熱処理)の方法
作成:20205-12-09
前提
- RTA=Rapid thermal annealing (急速熱処理)
- 熱処理装置 MILA-5050Z

注意点
- 周りに可燃物がないか確認
- 内部の熱電対が壊れていると、最大出力で加熱されて(1200℃程度)、熱処理装置本体が壊れてしまうおそれがあるので、必ず、プログラム通り確認しているか確認すること。
- 真空と熱処理を同時に扱っているので、よくわからない現象が発生したら、ただちに先輩, スタッフに相談すること
手順
- 立ち上げ
- 熱処理装置本体の電源をON
- Chillerの電源をON。
- Arガスボンベの元栓が空いていることを確認。
試料セット
装置内が真空となっていることを確認(基本的にサンプルがないときも真空状態で管理)
熱処理装置内部を大気圧に戻す。
TMP(ターボ分子ポンプ)バルブを閉じる。(必ず!!!!)
TMPの電源を切る。
扉のねじを緩めてから,Arメーターバルブを緩めてArを入れる。
(Ar注入では管のバルブを触らない。常に開いた状態にする)
※Arを入れる際にTMPに異音や異常が生じた場合は、ただちにArの注入を止めて、真空にする。TMPにArが入ったことを示すので,TMPバルブをしっかり閉じる。
0.01 Pa程度になったら,Arメーターバルブを閉じる。
(少し内圧が大気圧よりも高くする。これにより,装置内に大気(酸素や水蒸気など)が入りにくくなる)扉を開けて試料を均質加熱される枠内にセットする。
TMPの回転数が0 rpmであることを確認
TMPバルブを全開にして少し閉める方向に戻し,装置の電源をON。 最初にダイアフラムポンプが駆動し、その後、十分に内圧が低くなるとTMPが自動的に起動する。
内圧が低くなると扉のねじが緩むので閉める。
内圧が10^(-6) hPa(10-3Pa以下)程度になるまで待つ。
熱処理プログラムの設定

温度設定
- 目標温度と待機時間をそれぞれのSEGで設定する。
- SEG2で昇温速度設定,
- SEG3で熱処理温度設定を行う。
- 「EV1」:上限温度の設定,
- 「RPRPN」:熱処理の繰り返し回数(基本的に1)
- 「LNKPN」:他のPTNの熱処理につなげる(基本的に不要)PID制御の設定(基本的には設定不要)
- 引き出しに入っている「PZ900(PROTEM2) MILA-5050Z(J)」のCDからソフトをダウンロードする。CDを読み込む機械が棚に入っている。
- 異なる熱処理のプログラムを実施する際には要相談。
- PID制御の設定方法の詳細は、マニュアルに書かれている。
- 実際に加熱をし,トレンドグラフで熱処理の様子を観察しながらAT(オートチューニング)でPID設定。
- SEGごとの熱処理温度,熱処理時間を設定
熱処理の実行(大気圧付近で熱処理する場合)
大気圧に戻す
TMPバルブを閉じる。
TMP電源をOFF。
扉のねじを緩める。
‐0.02 Pa程度までAr 入れる。
(熱処理時に空気が膨張して内圧が上がりすぎないことを考慮。PV=nRTの関係) 熱処理プログラムを確認し,「RUN」を押す。 (何か問題があれば「RESET」で停止。)プログラム通りに温度が変化しているか最初の数分は確認(必ず!!!!)
目標温度以上に内部が上がりすぎていないか確認
熱処理後,室温程度(内部が酸化しないように、80℃以下まで)になるまで待機。
内圧を確認して、ガスがわずかに出ている状態で、ねじを緩めて、扉を開けて試料を取り出す。
立ち下げ
- 装置内を真空下に戻す。
- 扉を閉めて,ドライポンプの電源をON。
- 内圧が下がると扉のねじが緩むので閉める。
- 熱処理装置とChillerの電源をOFF。
以上